これまで、端材・廃材・流木について書きましたが、今日は古材について
以下の順序で書きたいと思います。
1.古材とは
2.古材の魅力
3.古材のメリット
4.古材のデメリット
5.古材の入手方法
6.古材の作品
7.古材への想い
古材とは、簡単に言えば古い材のことですが、建築業界では古材に対する定義があります。それは、昭和25年以前に建てられた木造住宅などに使われていた資材のことを指します。なぜ昭和25年かというと、現在は外国からの安い木材を調達することが多いですが、戦前は木造住宅を建てる場合に、その地で採れた良質な木材が使われることが多かったので、昭和25年というラインを決めたようです。ただ、沖縄は、戦争でほとんどの家屋が焼失したので、築50年以上の民家で使われていた木材を古材と呼んでいます。
2.古材の魅力
古材の魅力は、長い間の自然乾燥による経年変化で熟成された深い表情を見せてくれます。また、使われている場所によっては自然乾燥により強度が増していたりします。
木材は、例えば樹齢100年で伐採された木は、100年後まで引っ張り強度・圧縮強度が徐々に増していき、その後その強度がゆっくりと低下し、伐採から300年後にようやく伐採時と同じ強度までになるといわれています。年々強度が増していくって凄いですよね
3.古材のメリット
古材のメリットは、まずは何といっても素材の表情に深みがあり木材の模様、色合い、風味などが少しずつ違うため、深みがあり、古材好きには、あのビンテージ感がたまりません。
また、環境の面からも古材を使うメリットがあります。木材は炭素を固定しているので、長く使うということは地球温暖化を抑制する効果もありますし、古材を使用することで新たな木材を調達する必要が無くなるため、循環型社会へと貢献することができることも考えられます。
4古材のデメリット
1.数が揃えにくい
2.加工に手間がかかる
廃材と同じようにこの2点が古材の大きなデメリットです。建築などで使用する場合同じ規格の材をそろえにくいです。また、解体した古民家から調達する古材は、材の中に残った釘などの異物を取り除いたりといけないし、激しく劣化した部分はカットして取り除いたりと木工機械が使えないことも多く加工にとても手間がかかります。
5.古材の入手方法
古材の入手ですが、私の場合は解体される古民家があるという情報が入ると、時間が許せば古材をレスキューして倉庫に保管して、店舗の内装材などに使用していました。そして、レスキューを繰り返していると、いつの間にか古材に関する情報が集まるようになっていました。ただ、最近ではホームセンターでDFIY用に海外からの古材や古材風にペイントを施した材も販売されていました。
6.古材を使った施工例
古民家で使われていた梁で椅子を製作しました。昔の職人さんの仕事痕がいい感じのデザインになっています。
写真は、築70年の古民家をリノベーションしてギャラリーカフェの内装材として古材を使用した例です。和室の写真は古い柱材ですが、職人の仕事跡はもちろん、住まわれていたご家族が柱を使って子どもたちの身長を測っていたであろう傷跡もそのまま残して施工しました。
7.古材への想い
ところで、このギャラリーは私が病気をする前の施工ですが、ありがたいことに去年「沖縄建築賞」を頂きました。
今までは建築賞と言えば新築が対象で、木造古民家でしかも内装材に多くの古材が使われている例は初めてでした。
このように古材はDIYだけではなく、建築の分野やからも注目されていますし、環境の観点や古民家からの古材はもちろん廃材も活かせば空き家問題ともコミットできるのかもと思っています。
今は、残念ながら古材レスキューは無理ですが、ストックしている古材を使ってモノづくりの楽しさや、古材の魅力を伝えていこうと思います。
1.古材とは